こんな不思議なところは...

...私の好きなところでもある。


オスロにこんな図書館があります。
 
施設そのものは新しくて便利のいいもので、街のいろんな世代の人に使われています。
 
自動販機、お手洗い、パソコンやプリンター、Wi-Fiはもあれば、心地のいい椅子やソフアーも満載。

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本を借りることはもちろんできますが、それだけじゃないです。他にも、DVD、楽器、テレビゲーム、ボードゲームも借りれます。さすがに、楽器は館内ではできないけど、ビデオゲームは遊びコーナーでできます。
 
館内では、人とのお喋り、飲食、または携帯電話の使用はどこでも自由。
つまり、ソファーでゆったりと座って、ジュースでも飲みながら本を読むこともできます。
出来ないのは、お酒を飲むぐらいかな。
 
『でも、そんな自由させていれば、うるさくて勉強ができないんだろう』と思うかもしれないけど、そんなことないよ。だいたい携帯の通話をしたい人はトイレやビデオゲーム遊びコーナーのところでやることになっているんだ。まぁ、そう言っても、やっぱりそうしてくれない人も居たりはいるんだけどね(笑)

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 定期イベントもあるよ。
 
毎週の土曜日にはだれでも参加できる、ボードゲーム遊びイベントがあります。
 
考え深い映画の上映は週に数回。
 
移民のためのノルウェー語の勉強会も大人気で、とんでもない人数が並んで待ってることもある。
 
そして、たまにはノルウェーの少し有名な作家のひとりがお越しになって、いろんなお話をしてくれます。
 
他にも、子供向けの読書イベントも人気だね。
 
でも、この図書館のすごいところはこういうことではなくて、開館時間のことです。
だいたい朝8時から午後5時までは、だれでも利用できる、スタッフさんが居てくれる一般開館時間となってます。でも、スタッフさんがみんな全員帰った後でも、使えないことはない、図書カードさえあればね。しかも夜の11時までだよ。
 
やっぱり、スタッフが居なくなると、雰囲気も変わってゆきます。
というよりも、何でもありそう。
ある時、女のひとが大きな犬を連れてしばらく歩き回っていました。
ど真ん中のソファーでゆったりと座って、愛称の良さそうなカップルがキッスをしたのを見たこともあるんだ。
 
私がまた大学生をやっていたときや、腕を折れて仕事を長く休んでいたときは、夜のその図書館へよく通っていました。やっぱりそうしてると、「いつもの人たちがいる」ってことに気付いてゆく。
 
ソファーで寝そべてるお兄さんのこと。
コーヒーを飲みながらソファーで新聞を読んでるお爺さんのこと。
または、お喋りの相手を探している人のこと。
そして、もちろん、がり勉の学生さん。
あとは、勉強をするよりも「お菓子でも食べに来た」という学生さんのこと。
 
でもね、夜おそくまでも開いていて、これだけ便利のいいところがもしあるんだったら、オスロ中のホームレスの人が皆集まって、仲良く騒いだりはするんだろう?
 
それはね、意外と来ないんだ。
 
「いつもの人」としては一人か二人くらいかな。
 
白い髭を生えってる少しボロボロした姿のお爺さんのことを思い出します。
隣のスーパーでパンやハムなど買っておいて、だいたい決まった時間に、テーブルに付いて美味しそうに食べに来ているんです。いつもの話し相手もいるらしくて、彼らは長い時間いろんなお喋りをしてます。
 
なぜか、そういう人も来てくれてるだけで、私は何となく落ち着いて、嬉しさも覚えます。
ここで人はひとらしくも居られ、普通に自分らしく居ても良いと、私は感じ取ってるからなのかもしれません。
 
周りのことを気にしたり、ルールを大切にしたりももちろん大事だけど、そんなことは少しありすぎることもると思います。だから、硬いルールで皆を絶対的に同じように動かせるよりは、「常識で自らうまく動いてくれるだろう」と、信用しといた方がむしろ、快適な空間ができると思えるようにもなりました。それは、この図書館と出会ってからのことなんだ。
 
ここに、ほんとうに色んな人が居て、我慢もせずにそのままの自分を見せたりもしてくれます。
確かに、静まり返っているとは言えないけど、私にそんなのは要らないです。
自分にとって、ここは勉強や一休みのできるところだけではなくて、いろんな人が居てくれるお蔭で「リアールな世界」をノルウェーなりにも感じられる、特別なところなんだ。
 
私はこんなところにどれだけお世話になっているんだろう。
 
外の寒さを逃げ出して、あったかいお茶をいただいた後に、よく本棚を見ながら歩き回っている覚えがあります。
 
本棚の間を回っているうちに、私は作家たちのその「発信したい」という思いに感動させていることもあります。一冊の本のカバーを見てるだけで、私はやっぱり色んなことを考えます。
 
一人ひとりの作者が様々な生き方をして、色んな経験もして、自分がせっかくにたどり着いたところを一生懸命世界に伝えようという、「思い」の塊にも見えます。それに、その人が本を頑張って書いている間、その人を支えてくれた人たちのことも想像します。夫や妻、友人など、いろんな人が傍にいてくれたおかげで、その本が中々良いものになれたんのではないかなと。そして、長い年月が経ち、やがていよい出版日を迎えることができると、友人や家族は皆集まって大きな「乾杯!」とおめでたい気持ち。まぁ、これらのことは私の勝手な想像だけだけど、あったりもあるんじゃないかな。
何千冊もの本だから、おめでたい夜はいったいどれくらいあったんだろう?
 
そういえば、私にも書きたい本がある。
それもまたいつか、ここで紹介しようかな。